オールド観光案内図／熊本県

オールド観光案内図コレクション／熊本県

熊本県「熊本県鳥瞰図」
吉田初三郎画　鳥瞰図サイズ：770×177mm
発行：熊本県　昭和6年・表面カラー刷・印刷折本

�拡大図はこちら　大正広重こと、鳥瞰図絵師・吉田初三郎の作品。陸軍特別大演習に合わせて熊本県当局が依頼し、約2週間で熊本全県下の踏査スケッチを経て完成している。この作品の製作過程と県下の名勝旧跡の解説は、福岡日日新聞（西日本新聞の前身）に昭和6年11月10日より全12回にわたって連載執筆されている。初三郎は昭和初期より九州の作品製作の折、人吉温泉および日奈久温泉近くの佐敷に仮画室を構えて構想を練っていた。終戦時も佐敷で徳富蘇峰の依頼による「阿蘇大観図」（九州産業交通などがスポンサー・神奈川県の徳富蘇峰記念館所蔵）の制作のため長期滞在。昭和22年まで3年余りの大半を佐敷で過ごしている。その間、前出の図以外にもマッカーサーへ献納されたという「ビューティフル・ジャパンの図」を始め、広島図書からの依頼で制作した「広島原爆八連図」や昭和21年に菊池神社へ献納された「菊池戦績図（菊池神社資料館に常設掲額）」などを描き、井上靖氏の日本観光倶楽部からの依頼で「日本温泉名所大観画集」の構想を練っている（未完の模様）。近年、八戸で企画展開催に合わせて多くの資料が発掘されたように、初三郎に縁の深い熊本県下でさらに資料群が発掘されることを願う。

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