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本当のバリアフリーマップを考える
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 福祉マップやバリアフリーマップをご存知だろうか。障害者用トイレの有
 無や通路の段差情報など、車いすや高齢者の方々向けの情報が表現された
 地図のことで、各自治体や社会福祉協議会が中心となり調査・発刊されて
 きた。配布場所がこれらの出先機関などが中心のため、一般の方々の目に
 入る機会は少ないが、これから進む高齢化社会を考えても最重要な地図の
 ひとつだろう。

 筆者は地図会社でこれら福祉マップづくりや、自治体の「福祉のまちづく
 り条例」編纂に携わってきた経験から、いくつかの疑問点を感じずにはい
 られない。

 ひとつは、企画製作の際の検討委員に地図の専門家や当事者である障害を
 持つ方々が加わることが少なく、限られた人々の手で決められるため、で
 きあがった地図や情報が限られ「行きたい場所の情報が載っていない」と
 いうパターンが多くなってしまうこと。障害のある方たちからも最初に意
 見を聞くが、数も限られ、障害や立場もまちまちなため、製作段階で反映
 される部分は限りなく少ない。

 そして、それらの地図製作費用は緊急雇用対策費と絡めて計上されること
 が多く、調査の素人が調査するために情報の精度がまちまちになってしま
 い、当事者からは使いにくいものになることが多いこと。

 調査依頼の際、民間施設や店舗などからは掲載を断られることも多く、こ
 れも真のバリアフリーマップとは言えない理由のひとつ。一般のお客様に
 迷惑がかかる、面倒だという本音を「スペースが狭いので」「うちは障害
 者トイレがないので」と断られる。

 マップが出来た後の配布方法や更新なども問題だ。先般発行された某自治
 体のバリアフリーマップは経費が足りなかったのか、県民人口500万人
 障害者人口十数万人に対して、わずか2000部の発行とのことで、当然
 ほとんどの必要者の手元へは行き渡らない。この自治体のマップはその点
 をホームページで補った。

 また、問題点として「アイコン=マーク」や表現方法が全国で規格統一さ
 れていないことも忘れてはならない。つまりバリアフリーマップなのに、
 自治体や編集者ごとに表現が違うということは、その都度マークをアタマ
 に入れてから見なければならないのだ。これがやってみると案外神経を使
 ことに気づく。健常者がツラいことを障害のある方が簡単にクリアできる
 ものだろうか?

 私が以前在籍した地図会社でも、これらマップの話があるたびに表現の統
 一問題が出ていた。しかし実際は先に述べたように、緊急雇用対策などと
 絡むことが多いために調査期間も製作期間も通常1年以上を要するものが
 半年で仕上げるなど、工程に無理が生じ、結果として満足いくものが出来
 ないのが実状だ。

 ここで本題。本当のバリアフリーマップとはどういうものだろう?
 そのヒントが2つある。

 まず「みんなの旅ガイド九州」というCD−ROM版バリアフリー観光情
 報マップを5年前に製作した畑間英一氏が掲げる「行ける場所より行きた
 い場所へ〜みんなで使える情報マップ」
と題されたホームページ。

 彼自身がせき髄損傷の障害者であるが、生来?の活動癖のため(笑)、一
 見すると障害者にはみえないほど動き回る。あの乙武君にも匹敵する彼は
 ある時はフォルクローレバンドの一員、ある時はラジオのパーソナリティ、
 そしてある時はカヌーイストと、地図会社に所属しながら人生を謳歌して
 いる。実際に九州のテーマパークなどの観光地を1件1件調査に出向き、
 行ける場所ではなく、行きたい場所だから調査することを実践して完成さ
 せた「みんなの旅ガイド九州」を越える楽しいバリアフリーマップはまだ
 見たことがない。

 「行ける場所より行きたい場所へ」。この言葉をより実感したのが、全国
 でも唯一!障害者、高齢者の旅をサポートする専門旅行会社、ベルテンポ
 ・トラベル・アンドコンサルタンツ
高萩社長との出逢いだ。

 高萩氏は、乙武君とも旅をし著書『バリアフリー旅を創る』もヒット中。
 今が旬の?!企業家でもある。寝たきりだって、障害があったって、旅行
 には行きたい。そういう人々やご家族の願いを叶えるために大手旅行代理
 店を辞めて活動を開始した。

 高萩氏のお話の中で、障害者を受け入れる空気が日本と他の国では違うと
 伺った。例えば、アメリカ西海岸を旅した全盲の男性に対し、海岸沿いの
 レストランに入ろうとすると店員は「建物の中の席がいいですか?それと
 も夕やけがキレイなテラス席にしますか?」と聞く。意地悪で言うのでは
 なく、健常者と同じ接し方でお客のニーズに合わせる。

 全盲の人が景色の良いテラスに座って何が楽しいのか?旅行して何が楽し
 いのか、と思うかもしれない。しかしテラスなら海の匂いもすれば心地よ
 い海風も感じることができる。車いすや寝たきり生活の人は、旅行に行っ
 てはいけない。そういう風潮が日本にあることは確かだ。

 高萩氏は旅行を希望し申し込んでくれた障害者や高齢者の旅に、すべて同
 行する。障害者や寝たきりの高齢者を受け入れる宿泊施設も、国内では限
 られている。中には他の客に迷惑になるから、と楽しみにしていた温泉へ
 の入浴を断られることもあるそうだ。

 また、これら障害者からお金を取って商売をしている、と批判する方もい
 るという。日本では「福祉」ではお金を取ってはいけない、という感覚が
 蔓延しているからだ。福祉は自治体がやること。それは至極当然のように
 も思えるが、行政がやるサービスは「均一」にという観点から細かな要求
 には応えることができない。

 しかし、障害があっても旅はしたいし、美味しいものは食べたい。これま
 で誰も連れて行ってくれなかったから、またそういう仕組みが日本には無
 かったから、皆我慢していただけ、ではないだろうか?JRよりも私鉄の
 方が早く駅のバリアフリー化へ対応していることも象徴的だ。

 そう、究極のバリアフリーマップ。それは人々の「障害者」に対する偏見
 を克服し、一人の人間として「ここに行きたい、そのための情報がほしい」
 と言えるような世の中を創ること、障害の程度によって異なる「旅程マッ
 プ」づくりのように思える。

 ◎ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツ

 ◎バリアフリー研究フォーラム

 ◎畑間英一さんのサイト〜バリアフリーマップの提言他
 
                            Write: 益田
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